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今回は大腸ポリープの治療について、お話をしたいと思います。
大腸ポリープとは“大腸粘膜に出来た出っ張り”のことです。ポリープには様々な種類のポリープがあります。
大きく分けて、腫瘍性のポリープと非腫瘍性のポリープがあります。
腫瘍性のポリープの中で、悪性のものの代表が『がん』です。良性のものの代表が『腺腫』です。『腺腫』は将来的に『がん』に変わる可能性がありますので、治療の対象になります。
非腫瘍性のポリープには『過形成性ポリープ』『炎症性ポリープ』『若年性ポリープ』などのポリープがあります。いずれも悪性化することはないので、必ずしも治療する必要はありませんが、出血の可能性があるもの、腫瘍と紛らわしいものに関しては治療の対象になります。
内視鏡治療の対象になるものは、早期の大腸がん(深さが粘膜内または粘膜の下の浅い層にとどまるもの)、腺腫、非腫瘍性ポリープになります。
内視鏡治療にはいくつかの方法があります。
① コールドスネアポリペクトミー
高周波電源を使用せず、ワイヤーで絞りこんで切除します。腫瘍サイズが10mm以下で、茎を持たないポリープで、内視鏡診断で『がんではない』と診断された場合に適応となります。高周波を使用した切除と比べると、出血や穿孔の頻度が少ないといわれていますが、『がん』であった場合、再発するリスクがあります。
② ポリペクトミー
高周波電源は使用し、ワイヤーで絞りこんで、焼き切りながら切除します。焼き切りながら、切除しますので、治療した部位からの再発が少なく、茎のあるポリープの治療にも適しています。熱を加えて切除することから、切除後に潰瘍を作ることがあり、後日出血を来す確率がコールドスネアポリペクトミーよりも高いといわれています。
③ EMR
粘膜下層に液体を注入し、ワイヤーで絞り込みながら、高周波電流を流して切除します。大きさが10~20mm程度の平坦なもの、大きな茎のあるもの、凹んだもの、早期がんなどが対象になります。切除した後の傷が大きくなるので、傷を縫い合わせる処置が必要となります。
④ ESD
原則として20mmを超える大きな病変で『がん』を疑う病変が対象になります。粘膜下層に液体を注入し、病変の周囲に切開を入れ、粘膜の下の層を高周波電流を使い、剥離し、切除します。切除した後の傷がさらに大きくなり、治療中、治療後に消化管穿孔のリスクが高くなるので、基本的に入院治療で行います。また、トラブルが起きた際にすぐに外科手術が行える環境が必要です。
当院では全ての大腸内視鏡検査を拡大内視鏡を用いて行っています。ポリープを見つけた際には拡大観察を行い、ポリープの性質を判断し、適した治療を選択しています。高周波装置も備えていますので、コールドポリペクトミーだけでなく、ポリペクトミー、EMRにも対応しています。
ESDに関しては、ESD治療の経験豊富な施設に責任をもって紹介させて頂いています。
当院でEMRを行った症例です。
直腸に20mm大のポリープを認めました。
拡大観察で表面の構造を確認します。表面のパターンから腺腫と診断しました。
粘膜下に液体を注入し、病変を盛り上げます。
高周波装置を用いて、切除します。切除した部位には人工的な潰瘍が生じています。
潰瘍部をクリップを用いて縫縮して、治療を終了しました。
病理検査では管状腺腫の診断でした。切除断端も陰性であり、完全切除となっています。